メルセデス・ベンツの正規ディーラーは全国に321店舗展開しており、主に老舗の「ヤナセ」と専売網の「シュテルン」の2系列が日本のネットワークを支えています。
本記事では、全国の都道府県別店舗数一覧や代表的な旗艦店リスト、2大系列の特徴と筆者が実店舗で感じた接客の違い、そして最寄り店舗の探し方までを完全解説します。
メルセデス・ベンツ正規ディーラーとは?全国321拠点が紡ぐブランドの魂
メルセデス・ベンツの正規ディーラーは、ドイツ本社の厳格な世界基準に合致した設備と技術力を備え、日本全国に321店舗(2026年時点)を展開しています。
そこは単なる「車を売る場所」ではありません。
スリーポインテッド・スターが象徴する「陸・海・空」の覇権と、「最善か無か(Das Beste oder nichts)」というブランド哲学を、顧客が五感で味わうための入り口です。
新車の販売にとどまらず、厳格な基準をクリアした認定中古車(サーティファイドカー)の取り扱いや、専用テスターを用いた車検・点検、最新のEV充電インフラの提供など、高度な総合サービスを提供しています。
主要な都市部には、究極のパフォーマンスを追求するAMGや、至高のラグジュアリーを体現するマイバッハに特化した専門サロンが配置されています。
一方で、地方都市の幹線道路沿いには、広大な整備工場(ワークショップ)を併設した大型店舗がバランスよく配置され、長距離を走るドライバーの拠り所となっています。
これにより、日本国内のどの地域でハンドルを握っていても、メーカー直系の均一で高品位なアフターサポートを受けることが可能な体制が整えられているのです。
この強固なネットワークは、車という機械を単なる移動手段から「安心して人生を共にする相棒」へと昇華させる、極めて重要な基盤と言えるでしょう。
全国のディーラー店舗数一覧と地域を彩る主要拠点
メルセデス・ベンツの正規店舗は、全国47都道府県のすべてに漏れなく配置されています。
特に首都圏・近畿・愛知などの大都市圏を中心として、世界でも有数の密度を誇る手厚いネットワークが形成されています。
以下は、全国の地域別店舗数および、各エリアを代表する主要旗艦店の詳細一覧です。
エリア 都道府県内訳 拠点数 代表的な旗艦店舗・拠点例
北海道・東北 北海道、青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島 28店舗 メルセデス・ベンツ札幌中央、メルセデス・ベンツ仙台東
関東 東京、神奈川、埼玉、千葉、茨城、栃木、群馬 118店舗 メルセデス・ベンツ東京芝浦、メルセデス・ベンツ世田谷南、AMG TOKYO Setagaya
中部・北陸 愛知、静岡、岐阜、三重、新潟、富山、石川、福井、山梨、長野 56店舗 メルセデス・ベンツ名古屋中央、メルセデス・ベンツ浜松和田
近畿 大阪、兵庫、京都、滋賀、奈良、和歌山 52店舗 メルセデス・ベンツ大阪中央、メルセデス・ベンツ神戸西
中国・四国 鳥取、島根、岡山、広島、山口、徳島、香川、愛媛、高知 29店舗 メルセデス・ベンツ広島、メルセデス・ベンツ高松
九州・沖縄 福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄 38店舗 メルセデス・ベンツ福岡東、メルセデス・ベンツ那覇中央
この表が示す通り、首都圏エリア(1都3県)だけで全国の約3割以上の拠点が集中しています。
都市部では、最先端のデジタルサイネージを配した都市型ショールームや、豊富な在庫を誇るサーティファイドカー専門センターが活発に営業し、流行の発信地として機能しています。
一方、地方エリアに目を向ければ、広大な敷地面積を活かした大型店舗が多く見受けられます。
山間部や海岸線を走る過酷な環境下においても、確実にメンテナンスを受けられるインフラストラクチャーとして、地元のメルセデス・オーナーたちに深い安心感を与えているのです。
車は鉄の塊ではなく、オーナーが紡ぐ記憶でできています。
その記憶の舞台となる美しい道が日本中に広がっているからこそ、全国津々浦々にディーラー網が整備されていることには、極めて大きな意味があるのです。
各地域の詳細な店舗住所や電話番号、最新の展示車・試乗車の配備状況は、公式ウェブサイトのディーラー検索機能からリアルタイムで確認することができます。
「ヤナセ」と「シュテルン」の違い:僕が実店舗で感じた二つのホスピタリティ
メルセデス・ベンツ正規ディーラーの看板を掲げていても、その運営母体は大きく二つに分かれています。
歴史ある輸入車インポーターの「ヤナセ(YANASE)」と、メーカー主導で設立された地域専売網の「シュテルン(Stern)」です。
どちらで購入しても、車両本体の仕様や価格、新車保証(メルセデス・ケア)、そして整備の技術基準に一切の違いはありません。
しかし、両者にはその成り立ちからくる確かな文化の違いがあり、それは店舗に足を踏み入れた瞬間の空気感として表れます。
1. ヤナセ(YANASE)系列:歴史と重厚感が醸し出す安心
ヤナセは、日本の輸入車市場を100年以上にわたり開拓し、牽引してきた業界の巨人です。
「クルマはつくらない。クルマのある人生をつくっている」という理念の通り、長年の実績に裏打ちされたホスピタリティ重視の手厚い顧客管理が最大の強みです。
全国の主要都市を中心に直営ネットワークを展開しており、代表的な店舗にはメルセデス・ベンツ東京芝浦などがあります。
僕が取材とプライベートを兼ねて都内のヤナセを訪れた際、一番強く感じたのは、そこに流れる「時間の分厚さ」でした。
担当してくれたベテランのセールススタッフの振る舞いには、まるで親子三代にわたって顧客のカーライフを見守ってきた老舗ホテルのコンシェルジュのような、静かで重厚な安心感がありました。
他銘柄からの乗り換え相談にも豊富な知見で対応してくれ、長年車を乗り継いできたベテランドライバーが全幅の信頼を寄せるのも深く頷けました。
2. シュテルン(Stern)系列:革新と地域密着がもたらす風
一方のシュテルンは、メルセデス・ベンツ日本が全国の有力な地元企業等と提携して構築したブランド専売ネットワークです。
「シュテルン世田谷」や「シュテルン名古屋南」など、地域に根ざした法人展開が中心となっています。
最新のショールーム設計である「MAR20X」コンセプトの導入も早く、AMG単独拠点「AMG TOKYO Setagaya」など、時代に即した革新的な店舗を積極的に展開しています。
僕が最新のEVモデルを試乗するためにシュテルンの店舗を訪れた時の印象は、ヤナセとはまた違う、モダンで風通しの良いものでした。
ガラス張りの明るいラウンジは洗練されたカフェのような開放感があり、スタッフとのコミュニケーションも極めてフラットで軽快です。
最新のデジタルデバイスを用いた車両説明や、若い世代にも響くスマートな提案力など、メルセデスというブランドの「今」と「未来」を肌で感じられる空間づくりが見事でした。
どちらを選ぶべきかの基準
ヤナセとシュテルン、どちらが優れているというものではありません。
長年の付き合いによる絶対的な安心感や、クラシカルなホスピタリティを求めるならヤナセが心地よいでしょう。
一方で、最新のブランド体験や、カフェのように気軽に立ち寄れるモダンな雰囲気を好むならシュテルンが肌に合うかもしれません。
自宅や職場からのアクセスの良さ、希望する試乗車のラインナップ、そして何より「このスタッフから買いたい」と思える相性をもとに判断するのが最も合理的です。
なお、転勤などで引っ越しをした際も、ヤナセ間・シュテルン間はもちろん、系列を跨いでも公式のシステムを通じてメンテナンスの引き継ぎがスムーズに行われるため、心配は無用です。
正規販売店ならではの「見えない安心」と最新設備
正規ディーラーを訪れる最大のメリットは、ただ車を購入できることではありません。
ブランドの高度な専門知識を持ったスタッフと、最新のインフラによる盤石のサポート体制に身を委ねられることにあります。
一般の中古車店や街の整備工場とは一線を画す、正規店ならではの特筆すべき設備とサービスをご紹介しましょう。
- プロダクト・エキスパート(専門説明員)の常駐
現代のメルセデスは、もはや走るコンピューターです。複雑なMBUX(インフォテインメントシステム)や最新のADAS(運転支援機能)の操作方法を専門にレクチャーする、販売を目的としない説明専任のスタッフが在籍しています。
- 高出力EV急速充電インフラの配備
EQシリーズ(電気自動車)の普及に合わせ、店舗には最大150kW級の超急速充電器が続々と配備されています。充電の待ち時間も、ホテルのようなラウンジで美味しいコーヒーを飲みながら優雅に過ごすことができます。
- 充実のホスピタリティとくつろぎの空間
オーナーズラウンジには厳選されたドリンクサービス、高速Wi-Fi、さらにキッズスペースやおむつ交換台も完備されています。単なる待ち合いではなく、車を通じた豊かな時間を過ごすための空間設計がなされています。
- メンテナンス時の送迎・代車手配の徹底
車検や定期点検の入庫時には、最寄り駅への送迎サービスはもちろん、高品質なメルセデス車の代車提供体制が整っています。愛車を預けている間も、メルセデスの走りの質感を失うことはありません。
これらのサービスは、ハンドルを握るたびに心の奥に小さな灯がともるような、メルセデスのある生活の質を根本から支えるものです。
営業時間は通常10:00〜18:00前後で、月曜日または火曜日を定休日としている店舗が主流です。
月曜日が祝日の場合は営業し、翌火曜日を振替休業とする店舗も多いため、訪問前には必ず各店舗のウェブサイトで営業カレンダーを確認することをおすすめします。
ショールームで出会える最新ラインナップと認定中古車の価値
正規ディーラーのショールームは、鉄と電子が交差する現代の芸術品を鑑賞するギャラリーでもあります。
内燃機関(ガソリン・ディーゼル・マイルドハイブリッド)の熟成された鼓動から、プラグインハイブリッドの知性、そして完全電気自動車の静謐な走りまで、多彩なモデルが展示されています。
旗艦店や大型店では、コンパクトクラスから最高峰のラグジュアリーサルーンまで、常時10台前後の実車を比較検討することが可能です。
代表的な展示・試乗車カテゴリーと僕の視点
- ラグジュアリー&パフォーマンス
Sクラス、Mercedes-Maybach、Mercedes-AMG(SL 63 S E PERFORMANCEなど)。
Sクラスのドアを閉めた瞬間に訪れる「静寂の城」のような感覚や、AMGが放つ猛獣のようなエキゾーストノートは、実車でしか絶対に味わえない領域です。
- SUVシリーズ
Gクラス、GLE 450 d 4MATIC、GLC 220 d、GLAなど。
堅牢な記憶を受け継ぐGクラスのドアの開閉音や、最新のGLEがもたらす魔法のようなエアサスの乗り心地。これらは、日本のあらゆる道をフラットな絨毯に変えてしまいます。
- セダン&ステーションワゴン
Eクラス、Cクラスなど。
Dセグメント、Eセグメントの絶対的な基準点。Cクラスのステアリングを握り、高速道路を流した時に感じる「道との濃密な対話」は、いつの時代もメルセデスの真骨頂です。
- EQシリーズ(電気自動車)
EQS、EQE SUV、EQBなど。
まるで電気の海を滑空するかのような、新時代のドライビング・フィール。重いバッテリーを床下に敷き詰めたことによる驚異的な低重心と安定感は、一度体験する価値があります。
時を経ても色褪せない「認定中古車」の魅力
新車だけでなく、厳しい100項目以上の点検をクリアした「メルセデス・ベンツ認定中古車(サーティファイドカー)」も非常に高い人気を誇ります。
株式会社シュテルン世田谷が運営する「世田谷南サーティファイドカーセンター」など、中古車専売の巨大な拠点も全国に展開されています。
車は時が経てば古くなる機械ですが、適切なメンテナンスを受けたメルセデスの骨格は決して色褪せません。
認定中古車には、最大2年間の走行距離無制限保証や24時間ツーリングサポートが付帯するため、新車に勝るとも劣らない安心感で、名車との生活をスタートさせることができます。
公式ディーラー検索の活用と位置情報エラーの対処
最寄りの店舗や、乗りたいモデルの試乗車が配備されているショールームを探す際は、メルセデス・ベンツ公式ウェブサイトの「Dealer Locator(ディーラー検索)」を使用するのが最も効率的です。
現在地や郵便番号からの検索はもちろん、EV充電設備の有無など、多彩なフィルターで目的に応じた店舗を瞬時に抽出できます。
スマートフォン等で検索した際、「現在地を取得できませんでした」というエラーが出ることがありますが、これは端末側の設定の問題です。
iPhoneのSafariやChrome、Android等で、ブラウザアプリに対する「位置情報の利用許可」がオフになっていることが原因ですので、端末の「設定」からプライバシーや位置情報の項目を開き、ブラウザのアクセスを許可するだけで簡単に解消します。

考察:EV・SDV時代における実店舗ディーラーの「真の意味」
自動車の購入プロセスにおいて、オンライン完結型の商談やシミュレーションが一般化しつつある現代。
「わざわざ実店舗に行く意味はあるのか?」と問う声も聞こえてきます。
しかし、自動車ライターとしての僕の視点から言えば、EV(電気自動車)やSDV(ソフトウェア・デファインド・ビークル)の普及に伴い、実店舗ディーラーの重要性は以前にも増して高まっていると断言できます。
現代のメルセデス・ベンツは、複雑な電子制御システム、常時接続の通信モジュール、高度な自動運転支援技術を搭載した、巨大な情報端末としての側面を持っています。
こうした高度な知能を持つ車両の健康状態を保つためには、専用の診断テスターである「XENTRY(エクセントリー)」と、高電圧バッテリーを安全かつ正確に扱える特殊な認証を持ったメカニックの存在が絶対に不可欠なのです。
ヤナセやシュテルンが全国に維持し続けている整備工場と高出力急速充電網は、単なる車の販売窓口ではありません。
それは、私たちが安全に次世代モビリティ社会を生き抜くための、不可欠なインフラ基盤そのものです。
さらに言えば、どれだけデジタル画面上でスペックを比較しても測れないものがあります。
「シートに身を委ねた時の絶妙なホールド感」「ドアを閉めた瞬間に訪れる静粛性の質感」「アクセルを踏み込んだ時の回生ブレーキのフィーリング」。
こうした人間の感性に直結する生々しい要素は、実店舗で実車に触れ、五感による試乗体験を通じてしか正確に評価することはできません。
手続きや情報収集がデジタルへと移行する一方で、高度な技術サポートと、プロフェッショナルによる温かなホスピタリティを提供する場として、実店舗ディーラーのプレミアムな価値は、これからますます再定義されていくことでしょう。
まとめ
メルセデス・ベンツの正規ディーラーは、全国に321拠点で展開されており、日本のクルマ文化を牽引してきた「ヤナセ」と、革新的な専売網である「シュテルン」の2系列が、それぞれの強みで高品質なサービスを提供しています。
どちらの系列を選んでも保証や整備基準に差はなく、店舗の持つ空気感、試乗車の配備状況、そして担当スタッフとのフィーリングを重視して選ぶのが最良の選択です。
最新のテクノロジーが凝縮された実車に触れ、メルセデスの哲学を肌で感じるためにも、ぜひ公式のディーラー検索を活用して、最寄りのショールームを訪れてみてください。
よくある質問
ヤナセで購入したメルセデス・ベンツをシュテルンで点検・整備できますか?
はい、まったく問題なく点検や整備を受けられます。すべての正規ディーラーはメーカー共通の保証システムおよび整備データベースで連携しています。そのため、新車保証(メルセデス・ケア)の適用やリコール対応も含め、購入した系列に関係なく全国どの店舗でも同等のサービスを受けることが可能です。
正規ディーラーを訪問する際、事前の試乗予約は必須ですか?
予約なしの飛び込みでの訪問でも、ショールームの見学や車の確認は可能です。しかし、試乗をご希望の場合は事前のWeb予約を強く推奨します。特にAMGモデルやEQシリーズ(電気自動車)などは試乗車の台数が限られており、他のお客様への貸出等で当日乗れないケースが多いためです。
認定中古車(サーティファイドカー)は一般の中古車店と何が違いますか?
正規ディーラーの認定中古車は、最大100項目に及ぶメーカー基準の厳格な点検整備が実施され、純正パーツのみを使用して消耗品の交換が行われます。さらに、最大2年間の走行距離無制限保証と24時間ツーリングサポートが付帯し、万が一の際も全国の正規店舗で保証修理を受けられる点が、一般店との決定的な違いです。

