メルセデス・ベンツの株価は46ユーロ台にあり、高配当の魅力と中国市場への依存リスクを併せ持つ銘柄です。
2026年8月11日の参照データでは46.780ユーロ、年初来高値から約25%下落しています。投資判断では配当利回りだけでなく、株主構成、為替、EV戦略、ブランド価値の変化まで確認する必要があります。
メルセデス・ベンツの株価はいくら?2026年8月の値動き
メルセデス・ベンツ・グループAGは、ドイツ・シュトゥットガルトに本拠を置く自動車会社です。フランクフルト証券取引所に上場し、ティッカーはMBG、Xetraでは「MBG:GR」などと表示されます。
野村證券が掲載した2026年8月11日17時38分更新のデータでは、株価は46.780ユーロでした。前日比は0.305ユーロ安、下落率は0.64%です。
当日の主な株価データは次の通りです。
項目 数値
現在値 46.780ユーロ
前日比 -0.305ユーロ(-0.64%)
始値 47.005ユーロ
高値 47.095ユーロ
安値 46.515ユーロ
前日終値 47.085ユーロ
出来高 1,631,684株
年初来高値 62.340ユーロ
年初来安値 42.625ユーロ
売買単位 1株
ただし、株価サイトごとに更新時刻や価格の採用基準が異なります。別のマーケットデータでは、2026年8月12日4時55分(日本時間)時点の表示が46.72ユーロ、前日終値が46.86ユーロとなっていました。
これは直ちにデータの誤りを意味するものではありません。最低15分遅れの価格、終値、CFD価格、取引所価格など、表示条件の違いによって数字に差が出るためです。
購入前には、利用する証券会社の注文画面で現地市場の価格と時刻を確認することが重要です。検索結果に表示された株価だけを見て注文を決めると、実際の約定価格とのずれに戸惑う可能性があります。
年初来高値から約25%下落
2026年の年初来高値は、1月5日の62.340ユーロです。8月11日の46.780ユーロと比べると、下落幅は15.560ユーロになります。
下落率を単純計算すると、約25.0%です。
一方、年初来安値は6月29日の42.625ユーロでした。8月11日の株価は、この安値を約9.7%上回っています。
つまり、足元の株価は年初来安値からは戻しているものの、年初の高値には遠い位置です。46ユーロ台という一つの数字だけではなく、「高値から大きく下げ、安値から小幅に回復した局面」と捉えるほうが実態に近いでしょう。
車の速度計が現在の速さしか示さないように、株価も一瞬の値だけでは道の勾配を教えてくれません。高値と安値、その間に起きた事業環境の変化まで見ることで、初めて相場の風景が立ち上がります。
メルセデス・ベンツの配当は魅力的?利回りと減配を確認
メルセデス・ベンツ株が注目される理由の一つは、比較的高い配当利回りです。参照した配当データでは、年間配当額は1株当たり3.50ユーロ、配当頻度は年1回とされています。
同データ上の配当利回りは7%台で、表示箇所によって7.43%または7.48%となっていました。業界中央値として示された3.95%を上回る水準です。
ただし、投資で大切なのは、画面に表示された利回りをそのまま未来の収益として受け取らないことです。配当利回りは株価の下落によって高く見える場合があり、次回も同じ配当額が続く保証はありません。
過去の年間配当を見ると、変化は明確です。
権利落ち日 1株当たり配当 支払日
2026年4月17日 3.50ユーロ 2026年4月21日
2025年5月8日 4.30ユーロ 2025年5月12日
2024年5月9日 5.30ユーロ 2024年5月14日
2023年5月4日 5.20ユーロ 2023年5月8日
2022年5月2日 5.00ユーロ 2022年5月4日
2024年の5.30ユーロから、2025年は4.30ユーロ、2026年は3.50ユーロへと減っています。2024年と2026年を比べると、減少率は約34%です。
この推移を見る限り、「高配当だから安心」とは言えません。現在の株価を基準にした表面的な利回りは高くても、配当額そのものは2年連続で縮小しているからです。
参照データの配当性向は、直近12か月で66.03%とされています。利益の約3分の2を配当に回している計算ですが、利益が落ちれば同じ配当額の維持が難しくなる可能性があります。
なお、「5年間の配当成長率がプラス20.99%」という表示もあります。しかし、2021年12月には通常の年次配当とは性質が異なるとみられる14.00ユーロの記録が含まれ、単純な比較には注意が必要です。
過去の成長率というバックミラーだけを見て、次のカーブを予測することはできません。投資前には、最新の決算資料で純利益、フリーキャッシュフロー、配当方針、自社株買いの有無を併せて確認したいところです。

メルセデス・ベンツの主要株主は誰?
メルセデス・ベンツの株主情報で、特に注目されるのが中国資本の存在です。参照資料では、中国の北京汽車集団(BAIC)が9.98%、浙江吉利控股集団の創業者である李書福氏に関係する投資主体が9.69%前後を保有するとされています。
両者を単純に合計すると約19.7%です。メルセデス・ベンツの株式のおよそ5分の1に相当する規模を、中国の自動車産業と関係する大株主が握っている構図になります。
別の株主構成資料では、次の数字が掲載されています。
- 機関投資家:52.7%
- 個人株主:22.8%
- 北京汽車集団:9.98%
- 吉利側の投資主体:9.7%
- クウェート投資庁:6.8%
もっとも、この内訳は区分の重複や集計時点の違いに注意が必要です。大株主を機関投資家から切り分けて表示しているのか、基準日がいつなのかによって、合計の見え方が変わります。
さらに、2012年8月31日時点の古い地域別データでは、ドイツ32.8%、ドイツ以外の欧州35.0%、米国18.1%、クウェート7.6%などとされていました。これは現在の所有比率を示す資料ではないため、2026年の投資判断にそのまま使うべきではありません。
株主情報は「誰が何%持つか」だけでなく、その数字がいつのものかを確認する必要があります。最新の正確な構成は、メルセデス・ベンツ・グループの投資家向け資料や法定開示で確かめるのが基本です。
北京汽車集団と吉利はどんな存在か
北京汽車集団は、メルセデスの中国事業における合弁パートナーです。中国での現地生産を支える一方、大株主でもあるため、販売、製造、資本の三つの面で関係しています。
吉利は、ボルボやロータスなどとの関係でも知られる中国の自動車グループです。2018年に吉利側がメルセデスの大株主となったことは、ドイツを代表する自動車会社と中国資本の距離の近さを示す出来事でした。
この株主構成を、すぐに「経営を支配されている」と断定するのは適切ではありません。両者は別々の株主であり、保有比率の合計がそのまま共同歩調や議決権支配を意味するわけではないからです。
一方で、中国市場向けの商品戦略や現地提携を考える際、二つの大株主の存在を無視できないのも事実です。投資家にとっては、資本関係が中国事業を安定させる橋になるのか、それとも戦略上の制約になるのかを見極める必要があります。
なぜメルセデス・ベンツ株は中国市場とEV戦略が重要なのか
メルセデス・ベンツの株価を考えるうえで、中国市場は中心的な論点です。参考資料によると、同社の中国販売比率は30%を超えるとされ、中国の需要変化が世界業績に大きく影響する構造になっています。
2025年第3四半期には、中国市場での販売が前年同期比27%減少し、世界販売も12%減ったと報じられました。中国の落ち込みが全世界より大きかった点は、単なる景気循環だけではなく、競争環境の変化を示しています。
中国ではBYD、NIOをはじめとする現地メーカーが、EV、車載ソフトウェア、デジタル装備、価格競争力を急速に高めました。かつて輸入高級車の象徴だったメルセデスも、ブランド名だけで価格差を正当化しにくくなっています。
その象徴的な事例が、BYDとの合弁ブランド「騰勢(DENZA)」です。メルセデスとBYDは2011年に50対50で合弁会社を設立しましたが、2011年から2021年までの累計販売は約2万3,000台にとどまったとされています。
メルセデスは2021年に持分を50%から10%へ縮小し、2024年には残る持分も売却しました。その後、BYD主導となったDENZAは大型MPV「D9」などを投入し、累計販売20万台を超える規模へ拡大したと報じられています。
この経緯は、伝統的な自動車開発の完成度と、EV市場で求められる開発速度が同じものではないことを示します。車体剛性や乗り心地で積み上げた一世紀の知見があっても、ソフトウェアと電池の競争では別の運転技術が必要なのです。
メルセデスは2019年に電動化への注力を鮮明にしましたが、2024年には「2030年までに新車販売をすべてEVにする」という従来計画を修正し、2030年代まで内燃機関車の販売を続ける方針へ転じました。
これはEVからの全面撤退ではなく、需要の変化に応じてEV、ハイブリッド、内燃機関車を組み合わせる現実的な対応と考えられます。ただし、複数の動力方式を並行開発すれば、研究開発費や生産設備の負担が重くなる可能性もあります。
投資家が確認したいのは、単なるEV販売台数ではありません。EV一台当たりの採算、価格競争による値引き、電池調達費、ソフトウェア開発費、内燃機関車から得られる利益とのバランスが重要です。
メルセデス・ベンツ株へ投資する前の注意点は?
メルセデス・ベンツ株は、世界的なブランド力と高い配当利回りを持つ一方、複数のリスクを抱えています。数字の魅力と事業の難しさを分けて考えることが大切です。
1.ユーロと円の為替変動
メルセデス・ベンツ株はユーロ建てです。日本円で購入する場合、株価が上昇してもユーロ安・円高が進めば、円換算した利益が縮小することがあります。
反対に、株価が横ばいでもユーロ高・円安によって円換算額が増える場合があります。配当金もユーロで支払われるため、受取時の為替相場の影響を受けます。
2.外国株式の手数料と税金
外国株式の取引では、国内売買手数料だけでなく、現地手数料、税金、為替コストなどが生じることがあります。参考資料に掲載された証券会社では、外国株式の国内売買手数料が売買金額に対して最大1.045%、売買代金75万円以下では最大7,810円と説明されています。
これはすべての証券会社に共通する料金ではありません。取扱市場、注文方法、口座区分によって費用が変わるため、最新の手数料体系と契約締結前交付書面を確認してください。
3.配当の減額
2024年の5.30ユーロから、2026年は3.50ユーロへ配当が減りました。表示上の利回りが7%台でも、次回配当が同額とは限りません。
高配当株では、利回りそのものよりも、利益とキャッシュフローで配当を持続できるかを見る必要があります。減配と株価下落が同時に起きれば、配当収入だけでは評価損を補えないこともあります。
4.中国市場への高い依存
中国での販売減少は、売上高だけでなく、工場稼働率、値引き、利益率にも影響し得ます。中国メーカーとの競争が強まれば、高級車であっても価格を守り続けられるとは限りません。
北京汽車集団や吉利側が主要株主であることは、現地ネットワークの強さにつながる可能性があります。その反面、事業と資本の双方で中国との関係が深いため、地政学、規制、消費動向の影響を受けやすい構造です。
5.ブランド価値の変化
新型車では、スリーポインテッド・スターを反復した外装や大型スクリーンなど、視覚的に分かりやすい高級感が強調されています。新型CLAでは、グリルに142個のスターモチーフが使われたとも報じられました。
こうしたデザインが新しい顧客を引き寄せれば、ブランド刷新は成功です。しかし、従来の抑制された造形や機能美を好む顧客が離れれば、長年築いたブランド資産を薄める可能性もあります。
株式市場が最終的に評価するのは、ロゴの数ではなく、価格を維持しながら車を売れる力です。ブランド価値は貸借対照表だけでは測りにくいものの、販売価格、値引き率、中古車残価、顧客の継続購入に表れます。

株価と株主情報から考える今後の見通し
ここからは、公開された株価、配当、株主構成、事業環境を踏まえた僕の見方です。
メルセデス・ベンツ株の46ユーロ台という水準は、年初来高値から約25%下にあります。そのため、過去の高値だけを基準にすれば割安に見えるかもしれません。
しかし、株価が下がった理由を確認せず、「有名企業が安くなった」と判断するのは危険です。中国販売の減速、EV競争、配当額の減少という複数の懸念が、現在の評価に織り込まれている可能性があります。
個人的には、メルセデスの最大の資産は工場でもエンブレムでもなく、顧客が「高い価格を払っても選びたい」と感じる記憶だと考えています。安全思想、長距離での安定感、抑制の利いた造形は、長年かけて蓄積された無形の資本です。
けれども、その記憶だけで未来の利益を生み続けられるわけではありません。中国のEV企業がデジタル体験、開発速度、価格の三つを磨くなか、メルセデスは伝統を守りながら新しい購入理由を作る必要があります。
今後の株価を見る際は、次の四つを定期的に確認したいところです。
- 中国における販売台数と値引きの動向
- 自動車部門の利益率とフリーキャッシュフロー
- 1株当たり配当と配当性向
- EVと内燃機関車を並行展開するための投資負担
さらに、主要株主の比率変化も見逃せません。北京汽車集団や吉利側の持分が変われば、単なる株主名簿上の動きではなく、中国事業や提携戦略に対する見方が変化した可能性があります。
僕は、この銘柄を「高配当の自動車株」という一言だけで分類するべきではないと考えます。実態は、欧州の伝統的な高級車メーカーが、中国とEVによって再定義される過程へ投資する銘柄です。
配当は、その長い旅に同乗する対価になり得ます。ただし、道中で利益率やブランド価値が傷めば、配当も株価も揺れます。購入するなら、一度に結論を急がず、決算と事業指標を追える範囲で向き合う姿勢が必要でしょう。
まとめ
メルセデス・ベンツの株価は、2026年8月11日の参照データで46.780ユーロでした。年初来高値62.340ユーロからは約25%下落し、年初来安値42.625ユーロからは約9.7%回復しています。
年間配当は1株3.50ユーロ、表示上の配当利回りは7%台です。一方、配当額は2024年の5.30ユーロから減少しているため、利回りの高さだけで判断するのは早計です。
株主面では、北京汽車集団が9.98%、吉利側が9.69%前後を保有するとされ、中国資本の存在感が際立ちます。ただし、株主比率は基準日や集計方法で変わるため、最新の公式開示による確認が欠かせません。
メルセデス・ベンツ株の投資判断では、株価、配当、為替に加え、中国販売、EV戦略、利益率、ブランドの価格決定力を見る必要があります。高配当は入口であって、投資判断の結論ではない――これが、現在の数字から読み取れる最も重要なポイントです。
よくある質問
メルセデス・ベンツの株価はいくらですか?
2026年8月11日17時38分更新の参照データでは、46.780ユーロです。別のデータでは46.72ユーロと表示されており、取引所、更新時刻、遅延の有無によって差が生じます。
メルセデス・ベンツの主要株主は誰ですか?
参照資料では、北京汽車集団が9.98%、吉利側の投資主体が9.69%前後、クウェート投資庁が6.8%を保有するとされています。正確な現在比率は、最新の公式な株主情報で確認してください。
メルセデス・ベンツ株の配当はいくらですか?
2026年4月17日の権利落ちに対応する配当は、1株当たり3.50ユーロとされています。年1回払いですが、将来の配当額や利回りは業績、株価、会社方針によって変動します。
高坂 遼(自動車ライター|ドライビング・フィロソファー|モーターストーリーテラー)

