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【EQS 450+試乗レビュー】圧倒的な航続距離と最先端ラグジュアリーEVの乗り心地

夕暮れのワインディングロードを静かに滑走するメルセデス・ベンツEQS 450+の流麗なワンボウフォルム メルセデス・ベンツ

メルセデス・ベンツ EQS 450+は、国内最長クラスの一充電走行距離759km(WLTCモード)と極上の静粛性を備え、新車時1,500万円超から認定中古車相場400万〜700万円台へ流通したことで、圧倒的なコストパフォーマンスを誇る電動フラッグシップサルーンです。

メルセデス・ベンツ日本は、電動サルーンの最高峰「EQS 450+」に対し、実質的な使用可能バッテリー容量の拡大や機能マネジメントの最適化を施した年次改良モデル(MP202501/MP202502)を展開し、新車価格を1,535万〜1,550万円とアナウンスしました。

2022年9月の国内正規導入から年数を経た現在、初期型を中心とするディーラー認定中古車が400万円台後半から700万円台で市場に潤沢に出回るという、輸入車市場の大きな転換期を迎えています。

新車価格の半額以下で手に入る極上サルーンとして注目が集中する中、公称759kmに対する実電費の限界値、急速充電(CHAdeMO)の実効速度、日本の立体駐車場におけるサイズ・重量の壁、そしてライバル車との決定的な違いを、自動車ライターの視点で丹念に検証します。

メルセデス・ベンツ EQS 450+とは?出力・トルクと圧倒的な航続距離の全貌

メルセデス・ベンツ EQS 450+は、内燃機関車の流用ではなく、メルセデス初となる大型電気自動車専用プラットフォーム「EVA2」を骨格に採用した次世代プレステージサルーンです。

エンジンルームの制約から解き放たれ、フロア一面にバッテリーセルを敷き詰めた専用アーキテクチャが、従来の内燃機関セダンとは一線を画す居住空間を生み出しています。

ボディサイズは全長5,225mm、全幅1,925mm、全高1,520mm、ホイールベースは3,210mmに達し、キャビンフォワードのプロポーションが広大なキャビンをもたらします。

ラゲッジスペースは標準時で620リットル、後席を前方に倒すことで最大1,700リットルまで拡大するハッチゲート(リフトバック)構造を備えており、ステーションワゴンに匹敵する積載性を誇ります。

パワートレインはリアアクスルに永久磁石同期モーター(PSM)を1基配置し、最高出力265kW(360PS)、最大トルク568Nm(57.9kgm)の力強い推進力を後輪のみへダイレクトに伝達します。

駆動用リチウムイオンバッテリーは、量産乗用車として世界最大級の総電力量118kWh(初期型導入時は107.8kWh)を搭載しています。

この超大容量バッテリーと、量産車世界最高峰の空気抵抗係数(Cd値0.20)が融合した結果、一充電走行距離は国内トップクラスの759km(WLTCモード)を達成しました。

759kmという航続距離は、単なるカタログの数字にとどまらず、長距離ツアラーとしての自由と精神的なゆとりをドライバーにもたらしてくれます。


2025年次改良モデル(MP202501等)の進化点と中古車市場の動向

最新の年次改良モデル(MP202501/MP202502)における最大のトピックは、バッテリー実容量の増大と熱管理システムの高効率化、そして細部の装備見直しです。

2022年の日本導入初期型では総電力量107.8kWh(WLTC航続距離700km)だったバッテリーが、セル化学構造のアップデートによって118kWhへと大容量化され、WLTC航続距離は759kmへと約59km伸長しました。

さらにヒートポンプシステムの最適化によって冬季の暖房エネルギー消費が抑制され、実用環境下での実電費性能が底上げされています。

項目 日本導入初期型(2022年〜2023年) 年次改良モデル(MP202501 / MP202502) 進化の恩恵と実用面の違い
バッテリー総電力量 107.8 kWh 118.0 kWh 使用可能電力量が約10kWh増加し、遠征時の安心感が向上
一充電走行距離(WLTC) 700 km 759 km カタログ値で+59km伸長。高速実走行でも実質50km程度の余裕
バッテリー熱管理 初期型制御プログラム 改良型ヒートポンプ統合制御 低温環境下での暖房消費を抑え、冬季の実電費低下を緩和
新車車両本体価格 1,578万円(導入初期) 1,535万〜1,550万円 為替や装備内容の最適化により、戦略的な価格設定へ移行
中古車市場相場 460万〜700万円前後 900万〜1,200万円台(低走行) 初期型は値頃感が極めて高く、改良型は状態重視派に選ばれる

新車価格が1,500万円台で推移する一方で、市場には走行距離1万〜3万km前後の初期登録車両が400万円台後半から700万円台という身近なプライスで並んでいます。

高額EV特有の早い減価償却によって初期価格が大きく調整された結果、CクラスやEクラスの新車を検討する予算で最高峰のSクラス級EVが手に入る状況が生まれています。

初期型の107.8kWhでも実質航続距離は十分に長く、長距離移動の相棒として選ぶなら初期型の認定中古車はコストパフォーマンスの頂点に位置します。


弓の弦のように美しい「ワン・ボウ」デザインとMBUXが織りなす先進コックピット

EQS 450+の外観は、一本の張り詰めた弓の弦を想起させる「ワン・ボウ(弓)」ルーフラインによって形作られています。

従来のノッチバックセダンに見られたボンネット、キャビン、トランクの明確な段差を排除し、風の流れをミリ単位で整流するシームレスなシルエットを実現しました。

フロントフェイスには、夜間に左右を一直線の光帯で結ぶLEDヘッドライトと、スリーポインテッドスターの小紋を散りばめたディープブラックのパネルグリルが鎮座します。

リアエンドには螺旋状の立体グラフィックを描くコンビネーションランプが備わり、静寂の中に確かな個性を宿しています。

重厚なドアを開けると、そこには従来のウッドやメタルの概念を刷新する、デジタルラグジュアリーの極致が広がります。

インストルメントパネル全体を幅141cmの一枚ガラスで覆い尽くした「MBUXハイパースクリーン」が、乗る者を未来の世界へと誘います。

12.3インチの運転席液晶コックピット、17.7インチの中央有機ELメディアディスプレイ、そして12.3インチの助手席用有機ELディスプレイが見事に一体化されています。

助手席ディスプレイは乗員が座っている時だけコンテンツを表示し、運転中にドライバーが助手席画面を注視した場合は車内カメラが視線を検知して画面を自動調光する安全設計が徹底されています。

手が触れるダッシュボードやシートには滑らかなナッパレザーが張られ、繊細なダブルステッチと柔らかな間接照明が、静かな安らぎをもたらします。

※画像はAIによるイメージ

実電費とCHAdeMO急速充電時間:東京〜大阪500km無充電走破の現実解

EQS 450+の実走電費は、市街地走行で約5.0〜5.5km/kWh、高速道路を時速100kmで巡航した場合は約4.8〜5.2km/kWhを記録します。

118kWhの超大容量バッテリーを搭載しているため、WLTCモード値(759km)に対する高速走行時の実質航続距離は、温暖な季節であれば約550km〜600km前後が現実的なレンジです。

エアコンの冷房を強める真夏や、ヒーターによる熱消費がかさむ外気温0℃前後の真冬は、バッテリー電費がWLTC比で約25〜30%落ち込み、実質480km〜520km程度まで低下します。

したがって、「東京〜大阪間(約500km)の完全無充電走破」は、春や秋の好条件下で制限速度を守り続ければ計算上可能ですが、渋滞や天候悪化を考慮すると、途中で1回15〜30分の休憩がてら急速充電を挟むのが成熟したEVツアラーの作法です。

日本仕様のCHAdeMO急速充電器を用いた場合、バッテリー残量10%から80%までの充電時間は、充電器の出力規格によって以下のように大きく異なります。

  • 150kWタイプ(新設S.A.など):30分で残量10%から約53%まで回復(約43%分=航続距離約326km相当を補充)
  • 90kWタイプ(幹線道路・主要S.A.):30分で残量10%から約39%まで回復(約29%分=航続距離約220km相当を補充)
  • 50kWタイプ(従来型標準インフラ):30分で残量10%から約28%まで回復(約18%分=航続距離約136km相当を補充)

全国的に普及している50kWクラスの充電器では、30分の充電枠で130km強程度しか回復せず、118kWhの胃袋を満たすには力不足が否めません。

一方で、新東名高速道路などに増設が進む150kWマルチプラグ急速充電器を利用できれば、わずか30分で300km以上の航続距離を上乗せできます。

自宅や事業所での普通充電(AC200V・6kW)を利用した場合、残量10%から満充電までは約20時間を要します。

日々の運用ではバッテリー寿命に配慮して日常の充電上限を80%に設定し、長距離遠征の前夜にのみタイマー機能で100%までチャージする使い方が理想的です。

また、災害時やキャンプシーンにおいて車載電力を家庭や電化製品へ供給できる外部給電機能(V2H/V2L)も標準でサポートされています。


【試乗レビュー】浮遊感を生むAIRMATICと後輪操舵(リアアクスルステアリング)の旋回性能

スタートボタンを押し、ステアリングコラム右側のセレクターをDレンジへ倒すと、車重2.5tを超える巨躯が音もなく滑り出します。

アクセルを踏み込むと、568Nmの分厚いトルクが一切のタイムラグなく立ち上がりますが、背中を蹴飛ばされるような唐突さはなく、巨大な豪華客船が静かに波を掻き分けていくような重厚な推進力です。

二重遮音アコースティックガラスと床下の入念な吸遮音構造により、荒れた舗装路を通過してもロードノイズは遠くの微かな気配としてしか耳に届きません。

標準装備される電子制御エアサスペンション「AIRMATIC」は、路面のうねりや段差をミリ秒単位でいなし、キャビンの水平姿勢を完璧に保ち続けます。

高速道路の継ぎ目を踏み越える際も、サスペンションが上下動を瞬時に吸収し、乗員の腰には角の丸められた優しい振動しか伝わりません。

そして何より舌を巻くのが、最大切れ角10度を誇る「リア・アクスルステアリング(後輪操舵)」の驚異的な回頭性です。

時速60km以下では前輪と逆方向に後輪が最大10度切れ込み、全長5,225mmのサルーンでありながら、最小回転半径はミドルクラスセダン並みの5.0m〜5.3mへと縮小します。

狭いクランク路やホテルの地下駐車場へのスロープでも、車体の後ろ半分が内側へすっと吸い込まれるように身を翻します。

時速60km以上の高速域では前輪と同じ向きに後輪がステアし、高速道路での車線変更では横方向へ車体が平行移動するような、異次元の直進安定性を体感できます。

巨艦のような重厚さと、コンパクトカーのような小回り性能が、精緻な電子制御によってひとつの肉体に共存しています。


新車1500万から中古相場400万〜700万円台へ:主要オプションと認定中古車の見極め方

新車時には1,535万〜1,550万円というプライスタグを掲げるEQS 450+ですが、現在の中古車市場では460万〜700万円台という大幅に手の届きやすい相場を形成しています。

走行距離1万〜3万km前後の個体が新車価格の3分の1から半額近くで手に入る背景には、黎明期EVの急速な減価償却と市場の相場調整があります。

市場に流通している個体の多くは、正規販売店が管理する「メルセデス・ベンツ サーティファイドカー(認定中古車)」です。

高電圧バッテリーに対して「10年または25万km以内の容量70%保証」が付帯するため、中古で購入する際にも安心のバックボーンが存在します。

中古車を探す際は、快適性や走行フィール、将来の査定額を大きく左右する主要パッケージオプションの装着状況を丹念に確認することが不可欠です。

パッケージオプション名 主な標準・追加装備内容 走行・快適性への恩恵と選定ポイント
AMGラインパッケージ AMGスタイリング(外装・内装)、21インチAMGアルミホイール、スポーツステアリング、ナッパレザーシート、スターパターングリル スポーティな佇まいと21インチによる引き締まった操舵フィール。市場人気が最も高くリセール面でも有利。
エクスクルーシブパッケージ 前席シートベンチレーション、マルチコントロールシート(リラクゼーション機能)、パフュームアトマイザー、エアバランスパッケージ 長距離ドライブ時の腰痛や疲労を劇的に軽減。ラグジュアリーサルーンとしての真価を味わうなら外せない装備。
ベーシックパッケージ パノラミックスライディングルーフ、Burmester 3Dサラウンドサウンドシステム(15スピーカー) 開放感あふれるガラスルーフと極上の音響空間を提供。静粛性の高いEVキャビンにおいて音楽の解像度を最大限に引き出す。
リアコンフォートパッケージ MBUXリアタブレット、後席メモリーパワーシート、後席シートヒーター&ベンチレーション、ワイヤレス充電 後席乗員の居住性をファーストクラス級に高める装備。役員送迎やショーファードリブン用途に最適。

街乗りでのスタイリッシュさと引き締まった乗り味を求めるなら「AMGラインパッケージ」装着車が筆頭候補となります。

EQSならではの圧倒的な静寂を活かし、至高のパーソナルラウンジとして長距離を旅したいなら、「エクスクルーシブパッケージ」と「Burmesterサウンド」が組み合わされた個体を選ぶのが正解です。

走行2万km台前後の初期モデルであれば総額500万円台前半から十分に射程圏内に入り、現行型に近い高年式車でも800万〜900万円台で狙えるため、投資価値は極めて高いと言えます。

※画像はAIによるイメージ

専門家検証:乗ってわかったライバル比較と所有前に知るべき現実的課題

EQS 450+は圧倒的なロングレンジと静粛性を誇りますが、ライバルEVとの比較や日本の実インフラ環境に照らし合わせると、明確な美点とともに、購入前に覚悟しておくべき課題も存在します。

テスラ・モデルS、ポルシェ・タイカン、BMW i7という一線級のプレミアムEVと対比させながら、専門家の視点から実力を整理します。

乗って実感したEQS 450+の3つの美点

  • 1. 実走電費と航続距離の絶対的アドバンテージ:実電費が5km/kWh前後で安定し、高速巡航でも実質500km以上を確実にカバーできる点は、BMW i7(実質400〜450km)やポルシェ・タイカン(実質380〜420km)に対して長距離遠征における大きな優位性となります。
  • 2. 徹底的なNVH(騒音・振動・ハーシュネス)対策:Cd値0.20のエアロダイナミクスと入念なキャビン遮音材の相乗効果により、時速100km巡航時の静けさはテスラ・モデルSを明確に凌駕し、内燃機関のSクラスをも超える無音空間を作り出しています。
  • 3. リア・アクスルステアリングによる取り回しの軽快さ:最大10度切れる後輪操舵の切れ角は同セグメント随一であり、全長5.2m超の車体でありながら、都市部の狭小路やUターン時の取り回し性能は頭ひとつ抜けています。

購入前に把握すべき2つの現実的課題と注意点

  • 日本の機械式立体駐車場における「パレット制限」の壁:EQS 450+は全幅1,925mm、車両重量約2,530kgに達します。日本の都市部に多いタワーパーキングやマンション機械式駐車場(全幅1,900mm以下、重量2.0t〜2.3t以下制限)の多くでサイズ・重量オーバーとなり入庫できません。月極駐車場を契約する際は、平面自走式または大型ハイルーフ・重量対応パレット(2.6t以上対応)の確保が絶対条件となります。
  • 超大容量バッテリーゆえの充電環境依存と維持面の留意点:118kWhの大容量は、50kW充電器では30分で約18%しか回復しないため、遠征時は事前に90kW〜150kW充電スポットを綿密にルート設定する必要があります。また、エンジンオイル交換が不要な一方で、2.5tを超える車重と568Nmの大トルクを後輪のみで受け止めるため、タイヤの摩耗スピードはガソリン車より早くなる傾向があります。エアサスペンションや巨大スクリーンといった高度な電装系コンポーネントを含め、長期保有時は正規認定保証を賢く活用することが肝要です。

考察と今後の見通し:EVサルーン市場の地殻変動とEQSの真価

高級サルーン市場において、内燃機関の頂点に君臨してきたメルセデス・ベンツが世に放ったEQSは、EV専用アーキテクチャの真価を証明した歴史的メルクマールです。

しかし、新車デビュー当初の1,500万円を超える価格設定においては、伝統的なスリーボックスセダンの風格と威厳を求める既存のSクラス顧客層の間でワンボウデザインの評価が分かれ、初動の販売は緩やかなペースにとどまりました。

急激な市場の価値調整を経て、正規認定中古車が400万〜700万円台という「CクラスやEクラスの新車と同等の予算感」で手に入るようになった現状は、本質を見極める実利派の愛好家にとってまたとない好機と言えます。

OTA(無線通信)による車載ソフトウェアの継続的なアップデート機能が備わり、さらに10年25万kmのバッテリー容量保証が付帯する認定中古車であれば、パワーユニットに関するトラブルリスクは適切に担保されています。

大容量バッテリーがもたらす無充電ロングドライブの自由と、心身の緊張を解きほぐす圧倒的な静寂は、一度味わってしまうと内燃機関のフラッグシップサルーンへ戻ることが困難になるほどの説得力を持っています。

今後、新東名をはじめとする全国の主要高速道路において150kWクラスの急速充電インフラがさらに拡充されれば、EQS 450+の実用価値は一層揺るぎないものになっていくはずです。

どれほど先進的なデジタル技術で武装しようとも、その根底に流れているのは、長時間の移動でも乗員を疲弊させないメルセデス伝統のエルゴノミクスと安全思想に他なりません。

遠く離れた目的地へ向けて夜明けのハイウェイを静かに滑走し、疲れを微塵も感じさせずに颯爽と歩みを進める──。

EQS 450+のステアリングを握るとき、そこには電気の時代を迎えても決して揺らぐことのない、「最善か、無か(Das Beste oder nichts.)」というメルセデスの魂が確かに息づいています。


まとめ:EQS 450+は次世代モビリティの最高峰を具現化した一台

メルセデス・ベンツ EQS 450+は、国内最長クラスの一充電走行距離759kmと、路面から浮遊しているかのような極上の乗り心地を両立した電動フラッグシップです。

全長5,225mmの巨体による駐車場のパレット制限や、大容量バッテリーゆえの高出力充電器への依存といった運用上の注意点は存在するものの、最大10度の後輪操舵がもたらす驚異的な回頭性や、MBUXハイパースクリーンの近未来的な空間設計は唯一無二の魅力を放っています。

新車価格1,500万円超から、認定中古車市場において400万円台後半から700万円台という極めて魅力的なプライスで手に入るようになった今、最もコストパフォーマンスの高い最高峰のプレミアムツアラーとして自信を持って推薦できる一台です。


よくある質問

EQS 450+の実電費と実際の航続距離はどれくらいですか?

実走電費は約4.8〜5.5km/kWhで推移し、実際の航続距離は温暖期で実質550km〜600km前後となります。高速道路を時速100kmで巡航した場合でも500km以上を安定してカバー可能です。ただし、暖房ヒーターの負荷が大きい真冬やエアコン全開の過酷な夏季は電費が約25〜30%落ち込み、実質480km前後に低下するため、冬場の長距離移動では途中で1回15〜30分の急速充電を組み込むルート設計が推奨されます。

自宅に普通充電設備がなくてもEQS 450+を日常運用できますか?

運用自体は不可能ではありませんが、利便性と経済性を最大化するためには自宅または拠点への6kW普通充電器の設置を強くおすすめします。街中に多い50kW急速充電器では30分の充電で約18%(約136km分)しか回復しないため、118kWhの大容量を満たすには高速道路などの90kW〜150kW充電スポットを頻繁に利用する必要があります。自宅で夜間に安価な深夜電力を使って満充電にできる環境こそが、EQSの真価を引き出す鍵となります。

メルセデス・ベンツSクラス(W223)とEQSの決定的な違いは何ですか?

最大の違いはスタイリングの文脈、静粛性の質、そして乗り味の質感です。伝統的なスリーボックスの威厳とエンジンフィールの心地よい脈動を持つSクラスに対し、EQSは極限の空力を追求したハッチバック形式の「ワン・ボウ」フォルムと、振動が皆無のウルトラスムーズなモーター駆動を備えています。また、フロア全体に超大容量バッテリーを低く敷き詰めたEQSは重心高が極めて低く、高速巡航時の吸い付くような接地感とフラットな姿勢制御において独自の境地を切り拓いています。

文・写真:高坂 遼(こうさか・りょう)
自動車ライター|ドライビング・フィロソファー
“車は鉄ではなく、記憶でできている。──僕はその記憶を言葉で再生する。”

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