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プリウスPHV GRは何が違う?専用装備と走行性能を徹底解説

夕暮れのワインディングロードに停車した白い50系プリウスPHV GR SPORTを低い視点から捉えたシーン プリウス

プリウスPHV GR SPORTの違いは、出力アップではなく、足まわりと車体補強で応答性を磨いた点です。

年式では、2019年5月に4人乗りから5人乗りへ変更。2020年7月に安全・給電機能が強化され、2021年6月には8インチディスプレイオーディオが標準化されました。中古車は外観だけでなく、乗車定員、ナビ仕様、充電装備まで確認する必要があります。トヨタ自動車株式会社 公式企業サイト+2トヨタ自動車株式会社 公式企業サイト+2

プリウスPHV GR SPORTは通常モデルと何が違う?

通常のプリウスPHVとの最大の違いは、パワートレインではなく、サスペンション、ボディ補強、18インチタイヤ、操舵系、内外装の専用化です。

トヨタは2017年9月19日、スポーツカーシリーズ「GR」の第一弾として、プリウスPHVにGR SPORTを設定しました。

当初のベース車は「S」と「S“ナビパッケージ”」です。専用チューニングサスペンション、ブレース、小径ステアリング、専用タコメーター、アルミペダルなどが与えられました。GAZOO Racing

違いを整理すると、次のとおりです。

比較項目 通常のプリウスPHV S プリウスPHV S“GR SPORT”
パワートレイン 1.8Lプラグインハイブリッド 基本構成は共通
エンジン最高出力 72kW(98PS) 72kW(98PS)
モーター最高出力 53kW(72PS)/23kW(31PS) 同じ
サスペンション 標準仕様 専用チューニング
車高 最低地上高130mm 最低地上高125mm
タイヤ 195/65R15 225/40R18
ボディ 標準仕様 ブレースなどを追加
ステアリング 標準形状 直径362mmの専用小径タイプ
シート ファブリック 専用スポーティシート
外装 標準バンパー 専用前後バンパー、グリルなど
乗車定員 5人 2019年5月以前は4人、以後は5人

2021年6月版のGR SPORT主要諸元表では、1.8Lの2ZR-FXE型エンジンが72kW(98PS)、二つのモーターが53kW(72PS)と23kW(31PS)です。

これはベース車と共通であり、GR SPORT専用の高出力エンジンやモーターへ換装されたわけではありません。なお、エンジンとモーターは最高出力を発生する条件が異なるため、個別の数値を単純に足してシステム最高出力とすることもできません。トヨタ自動車WEBサイト

したがって、プリウスPHV GR SPORTを「加速力を大幅に引き上げた高性能版」と理解すると、実像から離れてしまいます。

このクルマが磨いたのは、ハンドルを切ったときやブレーキを踏んだときに、車体の姿勢が整うまでの感触です。直線の速さより、操作に対する動きの明確さを重視した仕様といえます。

本稿は、トヨタのニュースリリース、公式カタログ、販売店の車種解説をもとに仕様を整理したものです。特定の中古車を通常モデルと乗り比べた試乗記ではないため、乗り心地に関する記述は装備内容から読み取れる設計上の傾向として説明します。


プリウスPHV GR SPORTの年式別仕様はどう違う?

中古車選びの大きな分岐は、2019年5月の5人乗り化、2020年7月の安全装備強化、2021年6月のナビ構成変更です。

「前期」「後期」という曖昧な呼び方だけでは、装備差を正確に判断できません。改良日ごとに整理すると、違いが見えやすくなります。

発売・改良時期 乗車定員 GR SPORTの構成 主な変更点
2017年9月19日 4人 S/Sナビパッケージ GR SPORTを新設定
2019年5月9日 5人 2仕様を継続 5人乗り化、V2H対応充電やパノラミックビューモニターを設定、DCM標準化
2020年7月1日 5人 2仕様を継続 Toyota Safety Senseを機能向上、給電装備を強化
2021年6月3日 5人 S“GR SPORT”に整理 8インチディスプレイオーディオを標準装備

2017年9月19日発売モデルは4人乗り

GR SPORTの発売時には、次の2仕様が用意されました。

  • S“GR SPORT”
  • S“ナビパッケージ・GR SPORT”

メーカー希望小売価格は、S“GR SPORT”が371万1,960円、S“ナビパッケージ・GR SPORT”が411万6,960円でした。いずれも当時の消費税8%を含む価格で、乗車定員は4人です。GAZOO Racing+1

初期型の後席は左右独立の2座で、中央には大型コンソールが設けられていました。

一人ひとりの着座空間が明確になる反面、後席中央には人を乗せられません。家族や友人を含めて5人で移動する可能性があるなら、初期型は明確な制約になります。

中古車情報には、初度登録の時期と改良時期が近い車両もあります。登録年だけで判断せず、車検証の「乗車定員」と、後席中央の座面・ヘッドレスト・シートベルトを確認してください。

2019年5月9日の改良で5人乗りになった

トヨタは2019年5月9日、プリウスPHVの乗車定員を4人から5人へ変更しました。

この改良では、急速充電インレットに外部給電機能のV2Hを設定し、パノラミックビューモニターや専用通信機DCMの採用も拡大しています。V2Hを住宅への給電に使うには、車両側の対応装備だけでなく、別売りのV2H機器が必要です。トヨタ自動車株式会社 公式企業サイト+1

GR SPORTにも5人乗り仕様が反映され、後席中央に座席が加わりました。

僕は、この変更を単なる「一席の追加」とは考えていません。4人乗りの初期型は趣味性が濃く、5人乗りは日常の役割を引き受けやすい仕様です。

見た目はよく似ていますが、所有後の使い勝手は大きく異なります。

※画像はAIによるイメージ

2020年7月1日に安全装備と給電機能を強化

2020年7月の一部改良では、Toyota Safety Senseの機能が更新されました。

プリクラッシュセーフティの検知対象に夜間の歩行者と昼間の自転車運転者が加わり、レーントレーシングアシスト、ロードサインアシストも採用。パーキングサポートブレーキは全車標準装備となりました。トヨタ自動車株式会社 公式企業サイト

さらに、AC100V・1500Wのアクセサリーコンセントと外部給電機能が全車標準装備になり、ソーラー充電システムも全グレードへオプション設定されました。

中古車で安全装備を重視するなら、「50系だから同じ」と考えず、2020年7月改良前後を分けて探すべきです。

2020年7月版カタログでは、S“GR SPORT”が377万2,000円、S“ナビパッケージ・GR SPORT”が425万8,000円でした。価格は当時のメーカー希望小売価格であり、現在の中古車価格とは直接比較できません。トヨタ自動車WEBサイト

2021年6月3日にナビ構成が変わった

2021年6月の改良では、プリウスPHVに8インチディスプレイオーディオが標準装備されました。

GR SPORTも、それまでの「S」と「Sナビパッケージ」という2系統から、S“GR SPORT”の1仕様へ整理されています。2021年6月時点のメーカー希望小売価格は384万2,000円でした。トヨタ自動車株式会社 公式企業サイト+2トヨタ自動車WEBサイト+2

ここで注意したいのは、ディスプレイオーディオを搭載していても、車載ナビ機能が無条件に含まれるわけではないことです。

2021年6月版カタログでは、Apple CarPlayやAndroid Autoに対応する一方、車載ナビを使用するには販売店装着オプションのナビキットが必要と説明されています。トヨタ自動車WEBサイト

中古車の商品説明に「純正ディスプレイオーディオ」と書かれていても、ナビキット、テレビ機能、パノラミックビューモニター、ETC2.0の有無は別に確認してください。


専用サスペンションや18インチタイヤは走りにどう影響する?

GR SPORTの性格を決める中心装備は、専用サスペンション、補強部品、225/40R18タイヤ、小径ステアリングです。

トヨタモビリティ東京の車種解説では、ショックアブソーバーの減衰力を変更し、バネレートをフロント約1.3倍、リヤ約1.5倍に設定。フロントの車高を約13mm下げたと説明されています。

フロントセンターブレース、リヤブレース、リヤサスペンションアームブラケットなども追加されました。トヨタモビリティ東京株式会社

サスペンションは姿勢変化を抑える方向

一般に、バネレートを高めると、旋回や減速時に発生する車体の傾きを抑えやすくなります。

ただし、バネだけを硬くすると、段差で突き上げたり、揺れが残ったりする場合があります。GR SPORTではショックアブソーバーの減衰力も専用調整し、車体が動き始めてから収束するまでをまとめています。

設計上は、通常モデルよりロールの立ち上がりが抑えられ、操舵に対する姿勢が早く決まりやすい方向です。

一方で、乗り心地は路面、タイヤの劣化、空気圧、積載量によって変化します。中古車では「GR SPORTだから必ず上質」と決めつけず、現車の状態を確認する必要があります。

ボディ補強は動きの予測しやすさにつながる

旋回や段差通過では、サスペンションだけでなく、取り付け部分を含む車体にも力が加わります。

車体側の変形が大きいと、ハンドル操作からタイヤの反応が伝わるまでの感触が曖昧になりやすくなります。ブレース類は、サスペンションが働く土台を整えるための部品です。

これは限界速度だけに関係する装備ではありません。

高速道路の車線変更や、交差点を曲がる場面でも、車体の動きが予測しやすければ、ドライバーは余分な修正操作を減らしやすくなります。

僕がGR SPORTの補強に感じる価値は、過敏な鋭さではなく、操作と反応の間にある曖昧さを減らすことです。

225/40R18タイヤは維持費にも影響する

GR SPORTは、225/40R18タイヤと18×7½Jアルミホイールを装着しています。

通常のSに使われる195/65R15より幅が広く、タイヤの側面も薄くなります。操舵時の変形を抑えやすい反面、段差の衝撃や走行音を感じやすくなり、交換費用も上がりやすいサイズです。トヨタ自動車WEBサイト+1

トヨタのカタログには、タイヤとボディの隙間が狭いためタイヤチェーンを装着できず、雪道や凍結路では冬用タイヤを使用するよう記載されています。トヨタ自動車WEBサイト

降雪地域では、購入後に必要となるスタッドレスタイヤとホイールの費用も含めて検討してください。

また、最低地上高は125mmです。標準車より路面との余裕が小さいため、急なスロープ、縁石、立体駐車場の段差ではフロントバンパー下部や床下を擦らないよう注意が必要です。トヨタ自動車WEBサイト+1

ブレーキは性能より専用意匠を確認する

GR SPORTには、前後のブレーキキャリパーへホワイト塗装が施され、フロントにはGRロゴが入ります。GAZOO Racing

一方、主要諸元表に記載されたブレーキ形式は、フロントがベンチレーテッドディスク、リヤがディスクで、油圧・回生ブレーキ協調式です。トヨタ自動車WEBサイト

公式資料では、ローター径の拡大、キャリパーの多ピストン化、制動力の向上量までは示されていません。

したがって、「GR専用強化ブレーキで制動力が大幅に高い」と断定するのではなく、ホワイト塗装とGRロゴを持つ専用意匠のキャリパーと説明するのが正確です。

中古車では白い塗装の汚れ、剥がれ、補修跡も確認しましょう。カタログにも、塗装されたキャリパーは汚れが目立ちやすいとの注意書きがあります。トヨタ自動車WEBサイト

小径ステアリングと専用シートも重要

内装には、直径362mmの専用小径本革巻き3本スポークステアリングを採用しています。

専用タコメーター、GRロゴ付きスタートスイッチ、アルミペダル、スモークブラック加飾のシフトノブ、専用スポーティシートもGR SPORTの特徴です。トヨタモビリティ東京株式会社+1

一般に、ステアリング径が小さくなると、手の移動量を抑えながら操作しやすくなります。ただし、小径ステアリングだけで旋回性能が高くなるわけではありません。

サスペンション、タイヤ、車体補強を同じ方向へ整えたうえで、ドライバーが触れる部分も合わせて変更していることに意味があります。

※画像はAIによるイメージ

プリウスPHV GR SPORTの燃費とEV走行距離は何km?

通常モデルの燃費やEV走行距離を、GR SPORT固有の公式値として記載することはできません。

2017年に登場した通常の50系プリウスPHVには、JC08モードでハイブリッド燃料消費率37.2km/L、EV走行距離68.2kmという審査値が公表されていました。トヨタ自動車WEBサイト+1

2021年6月版の通常モデル主要諸元表では、WLTCモード燃費30.3km/L、充電電力使用時走行距離60kmです。

メーカーオプションの215/45R17タイヤ装着車は、WLTCモード燃費26.2km/L、充電電力使用時走行距離50kmとされています。トヨタ自動車WEBサイト

しかし、これらは通常モデルに対して示された値です。

GR SPORTは225/40R18タイヤを装着する架装車両であり、GR SPORT専用主要諸元表には燃費と充電電力使用時走行距離が掲載されていません。トヨタ自動車WEBサイト+1

数字を整理すると、次のようになります。

  • 37.2km/L、68.2kmは通常モデルのJC08モード値
  • 30.3km/L、60kmは通常モデルのWLTCモード値
  • 26.2km/L、50kmは通常モデルの17インチタイヤ装着車のWLTCモード値
  • いずれもGR SPORT固有の公式審査値とは断定できない
  • 実際の燃費やEV走行距離は、気温、充電頻度、エアコン、速度、タイヤ状態で変化する

燃費数値を最優先するなら、15インチタイヤを履く通常モデルのほうが合理的です。

GR SPORTは、経済性の頂点を狙う仕様ではありません。PHVの静かなEV走行を残したまま、操舵感や姿勢変化を通常モデルより明確にしようとしたクルマです。

朝の住宅街ではモーターで静かに走り、郊外のカーブでは引き締まった足まわりを味わう。

大きな排気音や高出力に頼らず、操作の手応えでスポーティさをつくろうとした点に、このモデルの独自性があります。


中古のプリウスPHV GR SPORTはどう選ぶ?

中古車は、価格の安さより、年式、乗車定員、ナビ構成、純正足まわり、充電装備の順に確認してください。

中古車情報サイトの平均価格は、掲載台数や年式構成によって大きく変動します。

とくに掲載台数が少ない仕様では、数台の高年式車や低走行車によって平均値が大きく動きます。そのため、一時点の平均価格だけで「こちらのグレードが割安」と判断するのは危険です。

比較するときは、次の四つをそろえて見るべきです。

  • 車両価格ではなく支払総額
  • 平均価格だけでなく価格帯と中央値
  • 年式と走行距離
  • 保証、整備、修復歴、タイヤの状態

価格や在庫は日々変化します。購入時には中古車情報サイトだけでなく、販売店が提示する支払総額、保証範囲、納車整備内容を確認してください。

4人乗りか5人乗りかを最初に決める

家族や友人を5人乗せる可能性があるなら、2019年5月改良後を選ぶ必要があります。

初期型の4人乗りは、後席中央のコンソールによる独立感を魅力と感じる人には合います。一方、緊急時でも5人目を乗せることはできません。

販売店の説明文に「後期」「中期」とだけ書かれている場合は、車検証の乗車定員を確認しましょう。

S GR SPORTとナビパッケージの違いを確認する

2017年から2020年までの主な違いは、GR専用の足まわりではなく、ナビ・通信装備です。

S“ナビパッケージ・GR SPORT”には、11.6インチのT-Connect SDナビゲーションシステムが組み合わされました。一方、S“GR SPORT”はナビを別途選択する構成です。トヨタ自動車WEBサイト+1

2021年6月改良後は8インチディスプレイオーディオが標準となり、従来のナビパッケージとは仕組みが異なります。

中古車では、画面の大きさだけでなく、次を実車で確認してください。

  • 車載ナビが使えるか
  • スマートフォン連携だけの仕様ではないか
  • パノラミックビューモニターの有無
  • バックカメラの映像が正常か
  • DCMとT-Connectサービスの対応状況
  • ETC2.0やテレビ機能の有無

足まわりが純正状態かを見る

GR SPORTは、新車時からサスペンション、車高、タイヤ、補強部品を総合的に調整したモデルです。

中古市場には、車高調、ダウンサス、社外ホイール、スペーサーを追加した個体もあります。カスタム自体が悪いわけではありませんが、純正の乗り味を求めるなら慎重な確認が必要です。

  • 純正ショックアブソーバーとスプリングが残っているか
  • 車高調やダウンサスのメーカー、使用期間
  • 純正18インチホイールの有無
  • タイヤ4本の銘柄、製造年、摩耗状態
  • タイヤの内減りや片減りがないか
  • 直進時にステアリングセンターがずれないか
  • 段差で金属音や打音が出ないか
  • 床下のブレースや取り付け部に変形がないか
  • 取り外した純正部品が保管されているか

GR SPORTでは、タイヤが操舵感を大きく左右します。

前後で異なる銘柄を履いている車両や、製造年が大きく異なるタイヤを装着した車両では、本来の乗り味を判断しにくくなります。

充電装備と駆動用バッテリーを確認する

GR専用装備だけでなく、PHVとして正常に使えることも重要です。

  • 充電ケーブルが付属しているか
  • 普通充電インレットに破損や腐食がないか
  • 急速充電インレットの有無
  • V2H対応仕様か
  • AC100V・1500W電源が作動するか
  • 充電時にエラーが表示されないか
  • ハイブリッドシステムの警告履歴がないか
  • 整備記録簿が残っているか
  • ソーラー充電装着車はルーフに損傷がないか

メーターに表示されるEV走行可能距離は、直前の運転や空調使用を反映した推定値です。その数字だけで駆動用バッテリーの劣化状態を断定することはできません。

可能であれば、トヨタ販売店での点検履歴、ハイブリッドシステム診断、保証の適用条件を確認してください。

試乗では加速より直進性を見る

試乗できる場合、強い加速を試す必要はありません。

低速で段差を越え、平坦路を直進し、緩いカーブを曲がり、軽くブレーキを踏むだけでも状態は見えてきます。

  • 直進中に左右へ流れないか
  • ハンドルを戻すと自然に中央へ近づくか
  • 段差のあとに揺れが長く残らないか
  • 金属音や打音が出ないか
  • ブレーキ時にステアリングが振れないか
  • タイヤから周期的な音が出ていないか
  • 低速旋回時に異音がないか

GR SPORTの魅力は、操作と車体の反応がそろっていることです。

反応が曖昧な個体は「古い車だから」で済ませず、タイヤ、アライメント、ブッシュ、ショックアブソーバー、修復歴の影響を調べるべきでしょう。


プリウスPHV GR SPORTを選ぶ価値はある?

ここからは、公式仕様を踏まえた僕の私見です。

プリウスPHV GR SPORTは、専用エンジンや大幅な出力向上を武器にしたスポーツカーではありません。

そのため、アクセルを踏んだ瞬間の強烈な加速や、サーキットでの速さを期待する人には合わない可能性があります。

一方、通勤や買い物にも使えるPHVで、ハンドルを切ったときの手応えや車体の収まりを大切にしたい人には、はっきりした意味があります。

通常モデルが柔らかなスニーカーなら、GR SPORTは路面の輪郭を少し近くに感じるドライビングシューズです。

目的地へ着く時間が大きく変わらなくても、そこへ向かう途中の感触は変わります。

向いているのは、次のような人です。

  • 強い加速より操舵感を重視する人
  • EV走行の静けさとスポーティな外観を両立したい人
  • 社外品ではなく純正チューニングを選びたい人
  • 日常の運転にも適度な手応えがほしい人
  • 自宅などに普通充電環境を用意できる人
  • 18インチタイヤの維持費を許容できる人

反対に、柔らかな乗り心地、タイヤ代、最低地上高、燃費数値を最優先するなら、通常のSやA系グレードが合う可能性があります。

また、家族利用では2019年5月以降の5人乗り、安全装備を重視するなら2020年7月以降、スマートフォン連携を重視するなら2021年6月以降が選びやすいでしょう。

GR SPORTという名前だけで決めるのではなく、自宅前の段差、よく走る道路、乗せる人数、充電環境を思い浮かべることが大切です。

クルマの性能は、カタログの数字だけで完成するものではありません。

毎日の道に置いたとき、自分が何を心地よいと感じるか。そこまで考えて選んだ一台は、長く記憶に残ります。


主な確認資料

本稿では、主に次の資料を確認しました。価格はいずれも発売・改良当時のメーカー希望小売価格で、現在の中古車価格や支払総額とは異なります。

  • TOYOTA GAZOO Racing「TOYOTA、スポーツカーシリーズ『GR』を投入」(2017年9月19日公開)GAZOO Racing
  • トヨタ「プリウスPHV 2017年9月版カタログ」GR SPORT主要装備一覧表・主要諸元表、カタログ58~59頁トヨタ自動車WEBサイト+1
  • トヨタ「プリウスPHVを一部改良」(2019年5月9日公開)トヨタ自動車株式会社 公式企業サイト
  • トヨタ「プリウスPHV 2019年5月版カタログ」PDF7~8ページトヨタ自動車WEBサイト+1
  • トヨタ「プリウスならびにプリウスPHVの安全・安心機能を強化」(2020年7月1日公開)トヨタ自動車株式会社 公式企業サイト
  • トヨタ「プリウスPHV 2020年7月版カタログ」PDF9ページトヨタ自動車WEBサイト
  • トヨタ「プリウスにブラックカラーの特別仕様車を設定―プリウスならびにプリウスPHVを一部改良し、ディスプレイオーディオを標準装備―」(2021年6月3日公開)トヨタ自動車株式会社 公式企業サイト
  • トヨタ「プリウスPHV 2021年6月版カタログ」主要装備一覧表149~150頁、主要諸元表151~152頁トヨタ自動車WEBサイト+1
  • トヨタモビリティ東京「プリウスPHV GR SPORT」車種解説トヨタモビリティ東京株式会社

資料の確認日は2026年8月5日です。中古車の装備は登録年月やメーカーオプションによって異なるため、購入時は車検証と現車を優先してください。


まとめ

プリウスPHV GR SPORTは、通常モデルの出力を高めた仕様ではありません。

専用チューニングサスペンション、補強部品、225/40R18タイヤ、直径362mmの小径ステアリング、専用シートや内外装によって、操作に対する車体の応答を磨いたモデルです。

年式では、2017年9月発売車が4人乗り、2019年5月改良後が5人乗りです。

2020年7月にはToyota Safety Senseと給電機能が強化され、2021年6月には8インチディスプレイオーディオが標準化されました。

中古車では、乗車定員、ナビの種類、安全装備、V2H、充電ケーブル、純正サスペンション、18インチタイヤ、床下の補強部品を確認してください。

速さを誇示するのではなく、日常の運転に少し濃い手応えを残すクルマ。

それが、50系プリウスPHV GR SPORTの本質だと僕は考えます。


よくある質問

プリウスPHV GR SPORTは何人乗りですか?

2017年9月発売の初期型は4人乗りです。

2019年5月9日の一部改良後は5人乗りになりました。中古車では車検証の乗車定員と後席中央の座席を確認してください。

プリウスPHV GR SPORTは通常モデルより速いですか?

エンジンとモーターの基本出力はベース車と共通で、直線加速を大幅に高めたモデルではありません。

専用サスペンション、ボディ補強、18インチタイヤ、小径ステアリングによって、操舵や減速時の応答性を重視しています。

GR SPORTのEV走行距離は何kmですか?

GR SPORT専用主要諸元表には、GR SPORT固有の充電電力使用時走行距離が掲載されていません。

通常モデルにはJC08モード68.2km、WLTCモード60kmまたは50kmという数値がありますが、GR SPORT固有値として流用するのは適切ではありません。

S GR SPORTとSナビパッケージ・GR SPORTの違いは何ですか?

2017年から2020年までのナビパッケージ車は、11.6インチT-Connect SDナビなどを備えた仕様です。

GR専用の足まわりや内外装は共通部分が多いものの、ナビ、カメラ、通信、充電装備は年式と車両ごとに確認してください。2021年6月以降はS“GR SPORT”へ整理され、8インチディスプレイオーディオが標準化されています。

執筆:高坂 遼(自動車ライター|ドライビング・フィロソファー|モーターストーリーテラー)

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